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ラルン・ガルの仏教弾圧

ラルンガル:3日で600戸が解体

2016730日 テンジン・ダルポ
ダラムサラ

630日 東チベット・セクタル郡のチベット最大の仏教僧院での解体のペースは当初懸念されていたよりはるかに深刻なものとなっている。先週水曜日に始まった中国政府主導の家屋解体数はすでに600戸を超えている。

http://www.tibethouse.jp/news_release/2016/images/20160808-01.jpg

消息筋によれば、中国人労働者の手で1日に100250戸近くの家屋の解体が進んでいる。僧院上層部は僧侶と俗人のいずれに対しても抵抗や抗議をしないよう通達している。すでに多くの住居の解体が進んでいるため、影響を受けた人の数も鰻上りとなっている。これまでの6日間に約600戸の住居が解体され、これまでのところ解体作業が終了する兆しはない。居住地区の住居が解体された尼僧たちは現在、まだ解体されていない僧院敷地内の別の住居に一時的に身を寄せている。地元の消息筋がラジオ・フリー・アジアに語ったところによれば、こうした解体により、現在、15人以上が身を寄せている住居もあるという。

抵抗運動や衝突が起きたとの報告はないにもかかわらず、中国中央政府によるダゴ郡、タウ郡、カルゼ郡に送った500人の治安部隊の駐留を地方政府は看過している。治安部隊は解体作業が進むラルンガルの複数の地域に配備されている。

チベット人民主主義センターによれば、中国政府は数千の僧侶、尼僧、信者の住居を解体し、彼らを追放し、住居数を政府が設定した上限の5,000戸以内に抑えるための段階的な手順を示した8か条のガイドブックを発行している。4ページにわたって記された住居解体命令によれば、ラルンガルの運営主体を含む関係部署は2017930日までにその住居数を5,000戸にまで減らすことが決められている旨を同センターは8月初頭に発表したものの、(県の治安局、公安局、あるいはセクタル郡の郡政府など)その執行権限を持つ組織については明らかにしなかった。

ケンポ・ジクメ・プンツォクが建立し、一時は漢民族の僧侶を含む1万名程度の僧侶が在籍したラルンガルを、中国政府は「分離主義勢力を亡命させる」ための情報を流布するハブセンターと見なしており、その勢力を半減させるためのこうした段階的措置は予防的措置と解釈することができる。

2011年にはセクタル僧院の解体が行なわれ、8,000人以上の僧侶が僧院から強制退去を余儀なくされ、2,000人の僧侶と尼僧の住居が解体された。
























中国の刑務所にて、テンジン・デレック・リンポチェ死去

2015年7月13日
ダラムサラ

   テンジン・デレック・リンポチェ

信頼できる情報元によると、中国の刑務所に監禁中だったテンジン・デレック・リンポチェが死去されました。彼は敬愛された精神的指導者であり、最高位のチベットの政治犯の一人でした。

彼のいとこであるゲシェ・ニマによると、テンジン・デレック・リンポチェ(65歳)は、7月12日日曜日に、中国南西の省都は成都にある川东刑務所にて亡くなりました。

ゲシェ・ニマによると、刑務所当局は日曜日にテンジン・デレックの姉妹たちに死因は明らかでないと伝えましたが、死因の詳しい調査は行われていません。

チベット亡命政府のロプサン・センゲ主席大臣は、この知らせに深い悲しみを表し、「テンジン・デレック・リンポチェの死去を知り、非常に悲しんでいます。彼は重体であったため、彼の支持者たちは何度となく、医療目的の仮釈放を求めていました。医療目的の仮釈放さえも、彼の支持者たちの最後の望みであった面会も認められなかったという事実は、中国政府の強硬な政策を反映しています。このような虐待は、チベット人たちの反感を煽るばかりです。」と表明しました。

月曜日の朝、リンポチェの姉妹や家族たちは、刑務所の外でリンポチェの遺体を引き渡すように求めましたが、無駄に終わっています。

リンポチェは、2002年4月にチベット自治権カルゼ郡(中国四川省の一部)ナチュの僧院から、彼の側近のロプサン・ドゥンドゥップとともに、中国政府によって逮捕されました。伝えられるところでは、彼らは成都で起こった爆弾事件に関わった罪を着せられました。

リンポチェは2002年12月2日に2年間の執行猶予と死刑を宣告されました。一方、2003年1月26日には、彼の側近ロプサン・ドゥンドゥップの死刑が執行されました。

チベットの情報源は、テンジン・デレック・リンポチェに対する刑は、ダライ·ラマ法王への彼の不動の忠誠心だと主張しています。

また、2004年のヒューマン·ライツ·ウォッチによる実質的な報告書は、テンジン・デレック・リンポチェに対する刑は、ダライ·ラマ法王を宗教指導者とするチベット運動を弱体化させるという政治的な動機があったと結論付けました。

「多数の目撃者のインタビューに基づいて、この報告書は、テンジン・デレック・リンポチェの逮捕と有罪判決を取り巻く状況の詳細な説明を提供しています。この事件は、チベット仏教の繁栄の助長、宗教指導者ダライラへの支援、そしてチベット社会的・文化的施設を設立した彼の業績を抑制するための中国当局による10年に及ぶ努力の集大成であったと結論づけています。彼の努力は、中国の制限的政策の中、また、個人に対して文化的·社会的表現の受け入れの境界を強制しようとする継続的な迫害の中で、アイデンティティを維持するのに苦しんでいるチベット人のための解決策になっていた。」とHRWの報告書は述べています。

2005年1月24日に、リンポチェの死刑判決は、国際人権団体や世界中の亡命中のチベット人によるキャンペーンのよる繰り返しの要求により、終身刑に減刑されました。

しかしながら、中国政府は長年のリンポチェの親族や弟子たちによる医療目的の即時釈放の要求は却下しました。代わりに、彼らがリンポチェの釈放の訴え続ける場合には、彼の姉妹には厳しい罰を与えると脅迫しました。

テンジン・デレック・リンポチェは、2002年4月の逮捕以前の彼の高貴な功績により、チベットでは高く崇拝され、尊敬されています。彼は彼の故郷のカムで、学校、児童養護施設、老人ホームや他の地域の建物を設立しました。

彼はダライ·ラマ法王への忠実な忠誠心により知名度が高く、チベット仏教とチベット文化の保存のためのロールモデルでした。また、リンポチェは河川の洪水や水質汚染につながったチベットの違法採掘活動に強く反対していた環境保護者でもありました。





ぺマ先生の産経新聞に書かれた記事です
これを読めば 日本が 如何に つまらない論争をしているのかわかります。
また論争者の後ろに 中国の影が良く見えてきました、


【暴走中国 その覇権主義的本質】大きくもなく、安定もしていない中国 アキレス腱の民族問題

5.20 産経新聞

 ★(1) ■ペマ・ギャルポ

  中国の暴走が止まらない。ベトナムと領有権を争う南シナ海のパラセル(中国名・西沙)諸 島周辺海域で、強引に石油掘削を始めたうえ、フィリピンと領有権 を争うスプラトリー(同・南沙)諸島では、勝手に滑走路建設に着手したのだ。関係諸国は猛 反発し、ベトナムでは反中デモが吹き荒れた。中国の覇権主義的 本質について、中国に侵略されたチベット出身の国際政治学者、ペマ・ギャルポ氏が迫った。 最近、ある方から「中国は本当に沖縄県・尖閣諸島を奪いに来るだろうか」と聞かれた。私は即、「それは日本次第でしょう」と答え、さらに「日本が弱腰な姿勢でいたら、尖閣だけでなく沖縄全体も奪うでしょう」と付け加えた。  チベット出身の 私は7歳の時から中国と戦い、それはいまだに終わっていない。チベット亡命政府の発表によると、これまでに約120万人のチベット人が、蜂 起や処刑、拷 問死、獄中死などで命を落とした。私は、中国の領土拡張の野望と覇権主義の実態を、身をもって知っている。 日本人はよ く、 「中国は大きい」というが、それは大きな勘違いだ。大きく見える中国の63%は本来、私の故郷・チベットや、東トルキスタン(ウイグル)、南(内) モンゴ ルなどである。チベットの面積は約240万平方キロで、中国全体約940万平方キロの約4分の1を占める。 中華人民共和国が誕生した1949年、人民解放軍は東トルキスタンを侵略し、翌年にはチベットに侵入した。55年「ウイグル自治区」が成立し、10年後の65年に「チベット自治区」が成立した。 中国は、チベットを、チベット自治区と青海省、四川省、甘粛省、雲南省などに分断し、分割支配している。いまだに暴力行政を行い、言論、思想の自由などを奪い、人間としての尊厳さえも踏みにじっている。 毛沢東主席は53年、チベットのダライ・ラマ法王に対して、「チベットの改革・解放が完了したら、人民解放軍は引き上げる」と約束した。  しかし、中国は 現在も約25万人の軍をチベットに駐屯させ、ほぼ同数の公安警察や武装警察、住民の数ほどの隠しカメラを配備・設置して、チベット人を監視 している。ウ イグルも同じような状況だ。「自治区」とは名ばかりで、そこに自治は存在しない。チベット自治区のトップである共産党委員会第1書記にチベッ ト人が就い たことはない。 中国の胡錦濤前国家主席はチベット第1書記時代(88~92年)、無慈悲、無差別な大量虐殺に関与したといわれる。スペインの裁判所が昨年10月、この件について訴えを受理している。 ここで強調したいのは、中国がチベットやウイグルなどの本格的支配を始めたのは、わずか約60年前ということだ。そして、チベット人やウイグル人たちは、いまだに精神的に屈服することなく、必死に抵抗を続けている。  「政治犯」とし て獄中生活を強いられたチベット人は、拷問や虐待を受け、医療や食事もまともに与えられないという。罪状は冤罪といえるものが大半とされ、 ある歌手は独 立の歌を歌った罪、ある者は焼身抗議(自殺)を奨励した罪、ある高僧は証拠もないまま武器を所持し隠した罪に問われた。 チ ベット亡命政 府によると、チベットでは4月16日までに、2009年2月数えて131人目の焼身抗議者が出た。彼らのほとんどは「ダライ・ラマ 法王の帰 還」「チベットの団結」「チベットの独立」などを叫んでいる。インターネットに動画があるので、命をかけた訴えを見てほしい。 民族問題は、中国のアキレス腱になっている。中国の実像は、日本人が思うほど大きくも、安定もしていない。 中国は現在、南シナ海のパラセル諸島やスプラトリー諸島で、ベトナムやフィリピンの領有権主張を無視して、「力による現状変更」を試みている。中国が覇権主義国であり、領土拡張主義国であることは、チベットやウイグルを見ればよく分かるはずだ。 

 

ペマ・ギャルポ  国 際政治学者。1953年、チベット生まれ。78年、上智大学国際学部大学院中退。80年、ダライ・ラマ法王アジア・太平洋地区担当初代代表。97年、 拓 殖大学海外事情研究所客員教授。2001年、チベット仏教ニンマ派総宗門顧問。05年、桐蔭横浜大学大学院法学研究科教授。著書に『中国が隠し続ける チ ベットの真実』(扶桑社新書)、『最終目標は天皇の処刑 中国「日本解放工作」の恐るべき全貌』(飛鳥新社)など。

 

【暴走中国 その覇権主義的本質】沖縄を第二のチベットに 経済効果をエサに県政財官界を“洗脳”

 

5.21 産経新聞

 ★(2) 2年前、沖縄県に仕事で行く機会があった。その際、財界を中心に多くの県民が、中国にある種の「甘い期待」を抱いているよう感じ、心配になった。ホテルや店舗も、中国語の表記やアナウンスが目立っていた。 中華人民共和国は建国以来、次から次へと近隣諸国を侵略し、現在の広大な領土を手にした。 領土拡張主義国家の手法は、相手国に潜伏し、洗脳し、撹乱(かくらん)させ、分断を図り、最後に武力で侵略を完成する。自国の侵略行為を正当化するために、歪曲(わいきょく)した歴史を根拠にするのが常套(じょうとう)手段だ。 中国は以前から、「琉球(沖縄)は中国の領土である」という教育を行ってきた。そして、最近、中国の学者や元軍人などが「琉球は1300年代から中国に朝貢し、中国の宗主権下にあった」などと強弁している。 習近平国家主席と若いころから付き合いがあるとされる、中国軍事科学学会の羅援副秘書長(元少将)は昨年5月15日、中国のニュースサイト、中国新聞網で「琉球(沖縄)は台湾列島の一部。つまり、中国の一部であり、絶対に日本のものではない」と発言した。 ちょうど同じ日、沖縄で「琉球民族独立総合研究学会」という団体が発足したのに合わせるようなタイミングだった。同学会は、琉球の日本からの独立を目指しているという。 中国共産党機関紙・人民日報系の環球時報は翌16日、この学会発足について詳しく取り上げ、「中国の民衆は(同学会を)支持すべきだ」との社説を掲載した。 「琉球の独立を支持すべき」という文言は、かつての「米国帝国主義からチベットを守る」というチベット侵略の口実に似ている。中国が沖縄の財界などに大きな期待を抱かせている点も、毛沢東主席の「チベットの近代化を手伝いにきた」というセリフに似ている。 中国が経済的効果などをエサに、沖縄県の政財官界や有識者らを洗脳しつつあることに、多くの日本人は気付いていない。私は強い危機を覚える。  日本政府は、沖 縄県を訪問する中国人には数次ビサを発給するなど、入国条件を緩和している。自国への入国者を24時間体制で監視し、無数のチェックポスト を設けている 中国と違い、日本はいったん入国すれば全国どこへでも自由に行ける。これは「トロイの木馬」と同じで、危機管理上、極めて深刻な問題であると 認識すべき だ。 中国が海洋国家に変貌して、東アジアや西太平洋を制するには、尖閣諸島、沖縄を制することが重要であり、急務である。中央・南アジアの覇権のために、チベットの制圧が不可欠だったのと同じだ。  沖縄県民の反基 地感情をあおって、沖縄から米軍を追い出すことは、中国が東アジアの海洋覇権を握る戦略の第一歩だ。そして、次にチベット自治区のような 「琉球特別自治 区」をつくることを狙うだろう。チベットの悲惨な現状を、日本国民、特に沖縄県民には教訓にしてもらいたい。 ■ペマ・ギャルポ  

 

 

 

 

【暴走中国 その覇権主義的本質】③諸悪の根源は中華思想 天安門事件の真実… ペマ・ギャルポ

 

2014-05-23 | 国際/中国/アジア

【暴走中国 その覇権主義的本質】諸悪の根源は中華思想 当局が隠し続ける天安門事件の真実 zakzak 2014.05.22 ★(3)    世界の主要都市 で来月4日、中国の天安門事件25周年に合わせて、集会やデモなど、さまざまな行事が行われる。私も、1989年6月4日のあの衝撃的大虐 殺事件の真実 を、世界の良識ある人々に知ってもらうことが大切だと考えている。これまでも、中国人の民主活動家たちが主催するイベントに、時間の許す限り 参加してき た。 中国人でない私が一貫して協力してきた理由は、まず、人民解放軍に踏みにじられて殺された人たちは、勇敢で純粋に自由を求めていたと思うからである。そして、彼らが掲げる自由と民主主義は普遍的な尊い価値であり、政治制度であるので、それに連帯の意思表示をするためだ。  天安門事件の犠 牲者の正確な数は、いまだにはっきりしていない。中国当局は死者319人と発表しているが、それを信じている人はほとんどいない。西側の専 門家や中国の 民主活動家らによると、死者は6000人から1万人、負傷者が2万人から7万人である。中国政府当局が真実を隠し続ける限り、本当の犠牲者の 数を把握す ることは難しい。 事件発生当時、世界中の国々が中国に対する経済制裁を発表し、政府のODA(政府開発援助)を停止または凍結して、中国の残虐行為を批判した。当時の中国民主化運動のリーダーたちも、次から次へと釈放されて海外に出た。 しかし、時とともに各国の政府も世論も変わっていった。  海外脱出に成功 し、一時的に脚光を浴びた民主化リーダーたちも、主導権争いから相互不信に陥り、離合集散を繰り返し、内部闘争に励んでいる。その間、中国 共産党は経済 的、軍事的、政治的に独裁の基盤を強め、国内では武力による支配を、国外に対しては軍事力を背景に覇権を狙い、周辺諸国の平和を脅かしてい る。 80年代後半、私は中国の民主活動家たちと何度か議論を交わす中で、彼らの語る自由と民主主義は単に、現政権打倒のための方便に過ぎないのではないか、という疑問を抱くようになった。  『中国の民衆殺 戮』(パレード)を執筆したハワイ大学のR・J・ラムル教授の推計によれば、共産党による中国人犠牲者は3800万人で、国民党の犠牲者は 1000万人 とされている。マルクス主義による解放と革命を約束した毛沢東の共産党独裁も、自由と民主主義をスローガンにした蒋介石の軍事独裁も、権力闘 争の道具と しての看板が違うだけで、中国が世界の中心という中華思想は同じだった。 中国の民主化運動を応援することは大切であるが、それが法治の下の個人の人権、民族自決権、国家の主権を尊重するものでなければ、毒入りのワインボトルのラベルを変えるだけのことになりかねず、諸悪の根源である中華思想の増長を助けることになりかねない。 

 ■ ペマ・ギャルポ◎上記事の著作権は[zakzak]に帰属します

 

 

【暴走中国 その覇権主義的本質】中国の内政干渉を断固阻止 アジア諸国が台湾、タイから学ぶこと
zakzak 2014.05.23 ★(4)


 中国はアジア各国に内政干渉を行っているが、少なくとも台湾とタイでは、その謀略が、良識ある学生や市民によって見事に阻止されている。 台湾では今年3月17日、学生と市民らが立法院を占拠した。決起の直接の理由は、台湾と中国のサービス分野の市場開放を目指す「サービス貿易協定」の批准を阻止するためであった。  馬英九総統と国 民党の指導者らは近年、中国共産党とよりを戻すような動きを活発化させていた。中国は経済をエサに台湾への影響を強めていた。台湾人の多く は「できれば 独立したい」と思っているが、現実的には現状維持で妥協している。ただ、中国の一部になることは拒んでいる。 今回の「太陽花学 運」 (=ヒマワリ学生運動)と呼ばれる社会運動の真の目的は、中国政府が4月16日に出した「両岸関係の平和的発展のプロセスを破壊し、妨害するもの だ」とい う談話が最も正確に表現している。まさに勇敢な学生と市民は、祖国を守るために立ち上がったのだ。この事件後、馬総統の支持率は10%台に落ち ている。 タイでは昨年11月25日、政権反対派(=黄色シャツ軍団)が政府の主要機関を占拠した。インラック前首相率いる政権が、実兄であるタクシン元首相らに特赦を与えようとしたことに反発したのだ。 タクシン氏復帰に抵抗したのは、中国政府がタクシン氏を媒体として、タイの国体にまで干渉しようとしたことに危機感を覚えたのである。黄色シャツ軍団は「救国」にとりあえずは勝利し、インラック氏は失職した。 中国の習近平国家主席の“家臣”のように成り下がった韓国の朴槿恵(パク・クネ)大統領の運命も、韓国国民の覚醒にかかっている。このように、アジア各国では祖国を「中国の魔の手」から救うため、国民が立ち上がって闘っている。  日本では、安倍 晋三首相が積極的に「日本再建」と「平和的安定」のために奮闘している。外国の不当な内政干渉を突破して靖国神社に参拝をしたのは、日本の 自主独立を表 現している。安倍首相は日本国民の豊かな生活と伝統文化だけでなく、日本人としての誇りと自信を取り戻すという、偉業に臨んでいる。 主権在民(=国民主権)においては、政府を批判する権利だけでなく、支持する義務も伴う。高みの見物をしている余裕はもはやない。日本を取り巻く環境は極めて厳しい。国民一人ひとりが、積極的に政治に関与することが日本を危機から守ることになる。  

■ ペマ・ギャルポ  ◎上記事の著作権は[zakzak]に帰属します

 

【暴走中国 その覇権主義的本質】⑤=完 安倍政権の弱体化をはかる人民解放軍と近い日中友好民間団体

 

2014-05-25 | 国際/中国/アジア

【暴走中国 その覇権主義的本質】安倍政権の弱体化をはかる人民解放軍と近い日中友好民間団体 zakzak 2014.05.24 ★(5)  中国による当面 の対日工作は、まず史実的に立証されていない「南京大虐殺」や「慰安婦問題」などの問題を喧伝して、日本のイメージダウンを図ることであ る。同時に、安 倍晋三政権下で軍国主義が復活しようとしているという「偽りの恐怖感」をあおり、日本を孤立させることだ。 世界的に反日運動を展開する「世界抗日戦争史実維護連合会」はよく知られている。最近、米国各地で慰安婦像を設置している韓国系反日団体などと連携を強めている。 日本国内では、従来の親中派議員や財界人、ジャーナリストなどを総動員して、1960-70年代のように、自民党などの保守陣営に接触している。日中国交正常化前後の日中関係の再現を謀り、安倍首相の孤立・弱体化をもくろんでいる。 旧来からの日中友好団体に加え、新たな中国民間団体が「平和と友好」を掲げて、日本の宗教団体や資金の豊富な財団などと、さまざまな名目での学会やシンポジウム、フェアなどを開催している。ここでも、「日中友好の妨げは安倍政権」との洗脳を試みている。 実はこの民間団体は、中国人民解放軍と強い結びつきがある。そして、沖縄にターゲットを絞って、自民党や沖縄県の関係者に近づき、深く入り込んでいる。中国軍は東アジアの海洋覇権を握るため、沖縄を「第2のチベット」にしようとしているのだ。  こうした動きに 対し、日本はただ呆然(ぼうぜん)と成り行きを見守るのではなく、断固として中国に対峙する姿勢を示すべきである。中国が成長したとはい え、日本人の想 像以上に中国の日本に対する依存度は高い。日本が毅然とした態度で臨めば、時が味方になるはずだ。 安倍政権の「積極的平和外交」「戦後レ ジームの脱 却」路線を貫くことは、日本の独立を守り、他国の侵略を防ぐために重要である。国民は安倍首相を支持し、国益に害を与えるような政治家や団体に は、厳し い目で監視・批判すべきだろう。 日本の弱点は、自虐的歴史認識の下で、過度な罪悪感を抱いて真実や現実から目をそらす偽善者が多いことだ。日本人にはなかなか理解しがたいようだが、中国に通じる言葉は正義でも真実でも、謝罪の言葉でもない。彼らが理解できるのは「力」のみである。今日本がやるべきことは、自主憲法に基づく力強い国の再建である。 一方、中国の潜在的脅威は、国内における汚職問題、根強い政府への不信、軍閥、地方閥、民族問題、共産主義下のご都合主義的資本主義の矛盾などの慢性病である。 日本人はこれらを認識したうえで、媚びへつらいの外交から、主体的外交に転換すべきだ。日中両国が時代にふさわしい対等平等な関係を築いてこそ、ともにアジアの発展と世界の平和に寄与できるだろう。 =おわり  ■ペマ・ギャル ポ  

 

 

 

 






http://dalailama.com/news/post/656-his-holiness-the-dalai-lama-expresses-his-sadness-over-the-recent-earthquake-and-tsunami-in-japan  

2011年3月12日     昨日の日本の地震とその後の津波に関するニュースを聞き、 2011年3月12日 日本首相管直人への3月12日にダライラマが送った 書簡は彼のショックと悲しみを表現しました。   法王様は、一命を落とした人のために 祈りを捧げて、それで影響を受ける彼らの家族と他のものに彼の共感と弔慰を表しました;   日本政府の防災手段は、死と破壊が大きくなるのを防いだことはすばらしいことです。 最後に 私たち皆、僧侶として、だれが毎日般若心経を 唱えることに関して、 法王様は、日本人の仏教徒がこの機会に般若心経を 唱えるなら非常に良いと感じました。あたら命を失った人にとってもそのような唱える事は役立っているかもしれないだけではありません   また将来更なる災害を防ぐのを助けるかもしれません。
10万回般若心経を唱えるための祈りの会 は Dharamsalaで このために組織化されました。  




ダライ・ラマ:単独インタビュー全文
http://mainichi.jp/select/world/news/20100503mog00m030001000c.html

毎日新聞と単独会見するダライ・ラマ14世=インド北部・ダラムサラで2010年4月28日、栗田慎一撮影


 ノーベル平和賞受賞者で、チベット仏教最高指導者ダライ・ラマ14世(74)が、4月28日、亡命政府のあるインド北部ダラムサラの法王宮殿で毎日新聞の単独インタビューに応じた。和訳全文は次の通り。【聞き手・栗田慎一】
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◇慈悲や愛…「内なる価値」の重要性を学ぶ教育システムを

Q 今、日本では、リストラ、過労、借金、職場や学校でのいじめなどを理由に、多くの人々が自ら命を絶ちます。日本社会は自信を失っているようにも見えます。毎日新聞を通じ、日本人、日本社会へのメッセージを頂けますか。

A 私は最近、シッキム(インド東部の州)から来た友人と会いました。シッキムは経済的に発展しましたが、そこで暮らす人々にギャンブルやアルコール依存症が増えました。ある者は精神的な不安を抱えています。西側諸国の友人も、そして多くの科学者も同じ状況にあります。現代社会は一般的に人間への慈しみや愛が欠けていると言われます。家族の間でさえも同じ。なぜこんな問題が増えているのでしょうか。

 また、これも最近だが、スイス・チューリヒの大学で科学者たちと会いました。テーマは「現代経済への警鐘」。そこで私はこう強調しました。私の知識は限定的なものだが、何千年も人々は神に祈り、精神的な力を得てきました。そして私は思うのだが、18、19そして20世紀初頭、我々は科学の助けによって技術を発展させ、何千年の祈りが果たせなかったことを科学技術がすぐに結果をもたらしました。科学技術が精神的なものから取って代わりました。そして当然のように、そこにはお金が人々の心に浸透してきました。

 20世紀後半に入ると、発展した国に住む人々は徐々に物質的な価値の限界を感じ始めました。しかし、彼らは「どうしてそうなったのか」を考えようとしません。

 私が思うに、現代教育は物質的な部分を重視しています。もし、人々が限界を感じているのであれば、教育システムにこそ目を向けなければなりません。私たちの内なる価値の重要性について学ばなければなりません。慈悲や愛といった内なる価値は内なる平和に基づきます。お金は内なる平和をもたらしません。お金は欲望とねたみ、そして競争をもたらし、人々の間に猜疑心(さいぎしん)を高めます。そう友人との間でさえも。

 人間の友情をも破壊します。真の人間関係は人間の信頼に基づきます。友情を失えば、人間関係は偽りのものになります。その結果、人は孤独にさいなまれ、精神的に不安定になり、怖れは深まります。人々は、自分は不幸だと感じ、アルコールや麻薬に走り、フラストレーションが貯まり、怒りっぽくなります。そして自ら命を絶ち、他人をあやめさえします。

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◇お金がすべてという考えは「内なる発展」を妨げる

日本の話をしましょう。私が最初に訪日した1967年、その当時、日本はすでに物質的に恵まれた産業国家であり、仏教信仰を含む豊かな文化遺産も発展させてきたという印象を受けました。だから、私は日本の友人たちに「現代の物質的価値と伝統的な精神的価値のバランスをきちんと取るべきだ」と助言しました。日本にはそれが現実になると感じていたからです。

 物質的な発展はいかなる場合でも、やがて限界に直面します。だから、「あなた方はそのことを心に留め置くべきだ」と。「もしそうしなければ、遅かれ早かれ、あなた方は限界に直面し、精神的に大きなショックを受けるだろう」と。そして、日本は何年か経済成長を果たしたのち、困難に直面しました。そして、今では経済の分野でも危機に苦しんでいるようです。

 そこで私の見解だが、祈りを通してだけでは問題は解決しません。私たちは教育システムを直視しなければならないのです。子供たちに、内面に存在する価値の重要性を教えるべきです。うわべだけの価値に限界があるのは明白だ。内面の安寧をもたらしません。私たちは現実主義者であるべきです。なぜなら、お金を持っているならばすべてOK、といったそういう態度はあまりに非現実主義です。お金が私たちのすべての欲望をかなえることができるという考え方は、内なる発展を阻害するのです

Q しかし、現代のシステムや考え方を変えるのはきわめて困難です。

A 私たちは将来の世代のことを常に考えなければなりません。私たちが直面しているいくつかの問題は、過去の怠慢が引き起こしました。あなた方はそれを除去しなければならないのです。逃げ道はないのです。だからこそ、今を生きる世代は苦しんでいるのです。我々の過去の世代は間違った。変えることに奇跡はない。私たちは真剣に考えなければなりません。そして将来の世代のために。仏教とは輪廻(りんね)だと信じることだ。だから、私たちの次の生誕はよりよく幸せになれるでしょう。

Q チベット人社会では自殺は多いのでしょうか。

A 自殺はほとんどありません。10万人に3から4人くらいの割合でしょう。今回の地震(注:中国青海省玉樹チベット族自治州玉樹県で4月14日に発生)で、中国のメディアは被災地を取材し、被災した人々の様子を目の当たりにしました。被災地ではチベット人たちと比べ、(主に漢族ら)中国人の嘆きと失望は非常に深かったようです。同じ苦しみを受けたにもかかわらず。犯罪は皆無でした。それは仏教の影響であり、私たち(チベット人)の社会を表しています

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◇日本人は自負心が強い。隣人が苦しむなら手を差し伸べて

Q 日本人には敬虔(けいけん)な仏教徒は多くありません。

A そのとおりです。儀式としての仏教です。いくつかの困難に直面した時、敬虔な仏教徒であるチベット人の精神はとても平穏です。彼らは心の中で、自信にあふれています。しかし、知識や仏教に関する本当の考えをもたないチベット人たちが、たとえばスイスや米国に行けば、彼らは現地の人々と同じようになります。そして同じ困難に直面します。

 物質的な価値は非常に重要です。とはいえ、物質的な価値だけで満足できると思うのは間違いです。私たちはそのほかの価値観も同等に重要であると、心にとめておかねばならない。仏教徒として、自殺はとてもとても罪深いことです。怒りやねたみに任せた、いかなる判断もしてはならない、これらは無知に基づく破壊的な感情です。こうした非現実的な思考は、やがて自殺をも引き起こすことになります。

 日本人はとても勤勉です。しかし、一方でとても自負心が強すぎないでしょうか。もし家族、隣人が苦しんでいるのであれば、手を差し伸べなくてはいけません。彼らと苦しみを分かち合わなくてはいけません。私たちは同じ人間であり、なんでも一人で解決しなくてもいいのです(笑い)。怒らないで下さい。これは私がよく使う手です。以前、私はインド人記者に「インド人は怠慢だ」と言ったら、彼は怒った。私はいつもそんなことを言う。そう、私こそ怠け者ですからね。

Q 2008年5月の四川大地震に続き、4月に青海省で大地震があり、中国の人々はあなたの訪問を望んでいると聞きます。

A 私たちは個人的なチャンネルを通じて、私の訪中を打診し続けていますが、中国当局は何の返答もよこしません。ただ、私は決して中国当局との緊張を高めたくはない。私は中国の人々と苦しみを分かち合いたいのです。

Q 日本政府は今、中国との良好な関係構築を模索し、米国から距離を置こうとしているようにも見えます。こうした傾向は中国とチベット亡命政府との間の問題に何らかの変化をもたらすのでしょうか。

A 昨年11月、私が沖縄を訪ねた時、そこに暮らす何人かが、沖縄に駐留する米軍基地について私に質問しました。

 ある人からは「日本は主権国家なのに外国の基地があるのはおかしい。すぐに移設されるべきだ」と聞きました。一方で「日本は自由を尊重する国であり、アジアだけでなく、地球規模で安全を守る責任がある」とも聞きました。

 地球規模の視点で言えば、核問題の行方が予測不能な北朝鮮、それに中国の問題もある。これはとても困難な問題です。こうした予測不能な観点から、日本は米国とともに地域の平和を維持する責任もあります。
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◇チベット問題は対決的手法では解決しない

 今日、日本と中国の関係は良好です。私がいつも言っていることだが、これはインドと中国との関係と同じです。

 インドと中国との関係が良くなれば、相互不信は取り除かれ、インドは中国にチベット問題でも助言できます。問題は、中国そのものではなく、社会のシステムです。中国の不透明さはチベット亡命政府やインド、日本のすべての人々に疑念を生じさせています。もし透明性があれば、社会が開かれ、報道の自由が高まり、猜疑心は必要でなくなります。そして、中国は外国への猜疑心から「閉じこもる思考」を捨て去ることができます。

 チベットの事例のように、中国政府の役人や中国の人々は、チベット文化とはどんなものなのかを知りません。チベット古来の制度さえも。過去30年間で何が起きたのかも。1980年に中国チベット自治区を訪問した胡耀邦氏(のちの党総書記、89年死去)はチベットで起きている非人道的な実態を報告したが、国民には知らされなかった。より開かれた社会、自由な報道が保証されなければ、チベット問題を中国の人々が知ることができないし、解決にも向かいません。

 もし日本とインドが友好関係を発展させ、言論の自由や、司法の独立などすべてを議論できれば、中国政府は猜疑心を捨て去ることができるでしょう。思うに、アジアの二つの強大な国、日本とインドは中国と緊密な関係を構築すべきです。そうすれば、こうした中国の猜疑心はなくなるでしょう。

 過去何年もの間、そして天安門事件(1989年)が起きる前でさえ、私はチベットの人々に「あなた方は中国の人々と接し、関係をよくすべきだ」と言ってきました。そして、2008年の危機(注・チベット自治区の区都ラサなどでチベット族と当局、漢族が衝突し、死者も出た)の後、私たちは大きな努力を重ねてきました。私は外国に住むすべてのチベット人にこう促しました。「スイスにいようと、カナダ、豪州にいようと、外国にいる私たちは中国人と友好関係を構築しよう」と。チベット問題は対話を通じ、相互理解を通じて解決されるべきです。対決的手法では解決しない。

Q 失礼ですが、ご自身で自殺を考えたことはありますか。

A それは最高機密です(笑い)。もし私がそんな感情を抱いたとしても、私は誰にも言わないでしょう。ただ時々、わずかな怒りや失意を感じることがあります。

Q チベット人はさまざまな意味で先進国より苦しんでいます。自殺が極めて少ないのは信じられません。

A チベットの人々の苦しみは(中国当局がチベットを支配した)60年前から続いています。仏教文化の価値を守るのは多くの困難を抱えるが、しかし私たちは信じます。銃はそうした自信に勝ることはできません。
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◇恥を許せず命を絶つなら、恥を選んだほうがいい

Q 自殺の増加は世界の大きな脅威となっていると考えますか。

A 極端な物質主義的思考は、とても危険です。それは道徳的な倫理観を大切にしません。道徳的倫理観は常に内なる平和と関係があります。汚職や盗みによって得たお金も、あるいは賢明に働いて得たお金も、お金そのものに違いはありません。盗んだお金でもモノを買うことができるし、お金に違いありません。だが、そこには道徳的倫理観の支えはありません。

 世界を襲った経済危機は、強欲な拝金主義と投機的な行為の結果です。人々は人間としての価値感を考えることなく、お金の話ばかりします。中国は(私が住む)インドより経済的に進んでいますが、インドは民主主義や法による統治、報道の自由などのような別の価値観を併せ持っています。私はインドの首相を「高徳な首相」と呼びます。インドを見てみるのがいいでしょう。独立して以来、ずっと(隣国の)パキスタンより安定しています。そう、スリランカやバングラデシュよりも。インドは「民主主義は非常に道徳的な原理」という考えを基本にしているからです。

 もし、頑張っても自信を持てないならば、周囲に頼っても決して問題ではありません。ブッダは自ら托鉢(たくはつ)しました。恥をかきながら生きるか、恥を許せず自殺しようと迷うなら、恥を選んだほうがいい。もし何かを失敗し、そして恥を感じたならば、不幸にも物ごいになっても、それは恥でも何でもない。私たちチベット人は(亡命し)インドに来た時、食べ物を求める物ごいだったのです。だから、失敗しても、自ら命を絶つ理由などないのです。

Q 6月に日本を訪問する際、日本の人々にあなたのメッセージと癒やしを伝えてください。

A そうしましょう。そう、日本を訪ねるたび、私の話を聞きに来る人々の数が増えているのですよ。 (終わり)


「聖地チベット ~ポタラ宮と天空の至宝~」展に関して
 日本の皆様へのお願い
 2009年9月28日 ダライ・ラマ法王日本代表部事務所

ご承知の通り、日本で「聖地チベット~ポタラ宮と天空の至宝~」と題したチベット展が巡回され、現在、東京・上野で開催中です。チベットに関するいかなる展覧会も歓迎すべきなのですが、残念ながら今回の展覧会は、チベットとその歴史の真の姿を伝えてはいないということをお伝えせねばなりません。

世界中でよく知られているように、1949年に中国共産党軍がチベットに侵攻して以来、平和的で信仰心厚いチベット人たちは、はなはだしい苦しみや虐待にさらされています。その結果、約120万人のチベット人が亡くなり、6千以上の僧院が破壊されました。

この展覧会の展示や文書は、日本国民を欺き、中国政府がチベット文化の善意の保護者であると信じさせるよう、意図的に作られています。実は、真実は逆なのです。チベットでは、今でもチベット人の信教と文化の自由は弾圧され続けています。昨年のチベット動乱がその証拠です。チベットが今日も封鎖されているという事実が、何よりも声高に物語っています。

もし主催者の方々が、この展覧会がチベット人のために行われていると信じるなら、チベットの真の歴史的背景と、ダライ・ラマ法王の亡命の理由、そして世界的問題となっているチベット問題について正しく展示し、呼びかけることで、関心を持つ人々に誤解を与えないようにすべきです。それどころか、中国政府に、チベットの封鎖を解いて本物のチベットを世界に見せるよう促すべきです。

チベットの状況は深刻です。残念なことに、この自由の国で、あるエリートや知識人の方々が、正義のために立ち上がる代わりに、チベットの悲惨な状況に投資を行っているのが見受けられます。

多くの日本のチベット支援グループや個人の方々が、展覧会と主催者に対し様々なデモを行っていることを知りました。皆様の純粋な関心や支援には感謝いたしますが、平和的に活動し、一切の暴力を行わないようお願いいたします。重要なことは、企画者と来場者の方々に、チベットの実情は異なっていることを知っていただき、世界が中国のプロパガンダである展覧会にだまされないようにすべきです。

この自由の国の皆様と報道関係者の皆様には、両者の意見を聞いていただき、真実と正義と人間性を支持していただくよう、お願いいたします。

ありがとうございました。

ダライ・ラマ法王日本代表部事務所
代表:ラクパ・ツォコ
AN APPEAL

To the People of Japan

2009/09/28

As you are all well aware, a Tibet exhibition titled. "Tibet - Treasures from the Roof of World" has been going around Japan and it has now come to Ueno, Tokyo. While we welcome any exhibitions on Tibet, we are sorry to inform that the said exhibition does not give the true picture of Tibet and its history.

The world is well aware that since the invasion of Tibet by Chinese communist force in 1949, peaceful and religious people of Tibet were subjected to tremendous sufferings and tortures. As a result some 1.2 million Tibetan died, more than 6000 monasteries have been destroyed.

The exhibits and the documents at the exhibition are purposely designed to mislead the Japanese public into believing the Chinese Government as the benevolent guardian of Tibetan culture. While in fact, opposite is the truth. Repression of Tibetan religious and cultural freedom is still going on in Tibet. This is evident from the last year's disturbance in Tibet. The fact that Tibet is closed even today speaks louder than anything.

If the organizers believe that this Exhibition is being done for the Tibetans, then the real historical background of Tibet and reason behind the flight of His Holiness the Dalai Lama, and the Tibet issue, which has become an international issue should be properly displayed and addressed to, so that the interested publics are not misinformed. Instead, they should urge the Chinese Government to open Tibet to let the world see the real Tibet.

Situation in Tibet is very critical; it is very unfortunate to see certain elite bodies and intellectuals in this free country instead of standing up for justice are seen investing on the sad plight of Tibet.

We have been informed that many Japanese supporters of Tibet, groups and individuals are staging demonstration against the exhibition and the organizers in various forms. While I thank them for their genuine concern and supports, I request them to keep their activities peaceful and refrain from any violent actions. Important thing is that we should let the organizers and the visitors know that the real situation in Tibet is different and the world shouldn't be deceived by this Chinese propagandist exhibition.

I request the people in this free country and media people to hear the both sides of the stories, and support the truth, justice and humanity.

Thanking you

Lhakpa Tshoko
Representative of His Holiness the Dalai Lama for Japan & East Asia

 



His Excellency The President of United States Barack Obama,   Tashi Delek! Welcome to Japan.   We the Japanese supporters of Tibet issue and the Tibetans in Japan wholeheartedly welcome you to Tokyo. We have a great respect for your commitment to peace and justice throughout the world. Since you took over the President-ship of United States, the world has been looking forward to a peaceful and harmonious world of freedom and justice.   His Holiness the Dalai Lama has been in Japan recently, in some of his public talk, he said America is a great democratic country, champion of freedom, liberty and justice. On being asked about your winning Nobel Peace Prize this year, His Holiness supports the decision and said that this is a great victory for peace and non-violent force.   As you are well aware, Tibet has been under the brutal occupation of Chinese communist regime since 1950. Tibetan people have greatly suffered and are still suffering under the tyrannical communist rule. Tibetan people have been denied the legitimate right to regional autonomy and identity as defined in Chinese constitution.   We earnestly appeal you to bring the issue of Tibet with the Chinese leaders during your forthcoming visit to China. As the leader of a great nation, epitome of freedom, liberty and justice, we request you to urge the Chinese leaders to stop the brutal regime in Tibet and to restore the legitimate right of the Tibetan people to their cultural identity, freedom and justice.   Relationship with China is very important for world peace and economy, but closing our eyes to the injustices and human right violations for trade and economy is not conducive and healthy for U.S., China and the world in the long run.   We sincerely welcome you to Japan and look forward to your leadership in bringing freedom, liberty and justice to all.     Kubo Takashi                                  Tatsumura Yukari President                                          President     Tibet Supporters in Japan       Kalsang Dhondup                             Sonam Tsering President                                          General Secretary Tibetan Community in Japan              11th November 2009       [和訳] アメリカ合衆国バラク・オバマ大統領閣下 侍史 タシデレ! ようこそ日本へ。 我々チベット問題支援者と在日チベット人は、この度のご訪日を心より歓迎申し上げます。
米国の大統領に就任されて以来、世界は、平和的で調和のとれる、自由で誠実な社会に向け希望を持てるようになりました。
我々は、全世界に向けての、平和と正義に対する貴殿の決意に心より敬意を表します。 先般、ダライ・ラマ法王猊下が来日された折、いくつかの公式インタビューの中で、米国は非常に優れた自由と解放と正義を掲げる民主主義大国であると述べておられました。
今年のノーベル平和賞を貴殿が受賞されたことについてコメントを求められた際にも、猊下はこの決定を支持され、この受賞は平和と非暴力の実現にとって大いなる栄誉であると述べられました。 御承知のとおり、チベットは1950年より中国共産主義政治の暴力的な圧政下におかれています。その共産主義によって多大なる打撃を被り、今なお暴虐な行為に苦しめられております。また地方自治の合法的な権利と人権をも奪われてきました。 我々は、バラク・オバマ大統領のこの度の訪中の滞在期間中、このチベット問題について中国首脳とお話しくださいますよう、切にお願い申し上げます。 自由と解放と正義を掲げる大国のリーダーとして、チベットの人々が自主性と自由と正義に対する合法な権利を回復できるように、中国の指導者に対しチベットに対する暴力的な圧政をただちにとりやめるよう、働きかけて下さることをお願い申し上げます。 米中関係は世界の平和と経済のために非常に重要ではありますが、貿易と経済を優先させるがために、不正行為と人権侵害の問題に対して無関心でいることは、アメリカ合衆国と中国、そして全世界にとって、長期的に見て決して良い結果をもたらさないでしょう。 我々は心から貴殿の訪日を歓迎し、そしてすべての人へ自由と解放と正義をもたらす貴殿のリーダーシップを心より期待しております。 2009年11月11日 チベット・サポーターズ・イン・ジャパン 代表 久保 隆 、 代表 龍村ゆかり 在日チベット人コミュニティー 会長 越川・キャルサン・ドントップ 副会長 ソナム・ツェリン


「聖地チベット ~ポタラ宮と天空の至宝~」展に関して
日本の皆様へのお願い
2009 年9 月28 日
ダライ・ラマ法王日本代表部事務所

ご 承知の通り、日本で「聖地チベット ~ポタラ宮と天空の至宝~」と題したチベット展が巡回され、現在、東京・上野で開催中です。チベットに関するいかなる展覧会も歓迎すべきなのですが、残念ながら今回の展覧会は、チベットとその歴史の真の姿を伝えてはいないということをお伝えせねばなりません。世界中でよく知られているように、1949 年に中国共産党軍がチベットに侵攻して以来、平和的で信仰心厚いチベット人たちは、はなはだしい苦しみや虐待にさらされています。その結果、約120 万人のチベット人が亡くなり、6 千以上の僧院が破壊されました。こ の展覧会の展示や文書は、日本国民を欺き、中国政府がチベット文化の善意の保護者であると信じさせるよう、意図的に作られています。実は、真実は逆なので す。チベットでは、今でもチベット人の信教と文化の自由は弾圧され続けています。昨年のチベット動乱がその証拠です。チベットが今日も封鎖されているとい う事実が、何よりも声高に物語っています。もし主催者の方々が、この展覧会がチベット人のために行われていると信じるなら、チベットの真の歴史的背景と、ダライ・ラマ法王の亡命の理由、そして世界 的問題となっているチベット問題について正しく展示し、呼びかけることで、関心を持つ人々に誤解を与えないようにすべきです。それどころか、中国政府に、 チベットの封鎖を解いて本物のチベットを世界に見せるよう促すべきです。チベットの状況は深刻です。残念なことに、この自由の国で、あるエリートや知識人の方々が、正義のために立ち上がる代わりに、チベットの悲惨な状況に投資を行っているのが見受けられます。多 くの日本のチベット支援グループや個人の方々が、展覧会と主催者に対し様々なデモを行っていることを知りました。皆様の純粋な関心や支援には感謝いたしま すが、平和的に活動し、一切の暴力を行わないようお願いいたします。重要なことは、企画者と来場者の方々に、チベットの実情は異なっていることを知ってい ただき、世界が中国のプロパガンダである展覧会にだまされないようにすべきです。この自由の国の皆様と報道関係者の皆様には、両者の意見を聞いていただき、真実と正義と人間性を支持していただくよう、お願いいたします。ありがとうございました。
ダライ・ラマ法王日本代表部事務所
代表:ラクパ・ツォコ


<全チベット民族が名実共に自治を享受するための草案>

ダライ・ラマ法王特使による中国統一戦線工作部提出資料

2008年11月16日    チベット亡命政府


1. はじめに
2. チベット民族の単一性に対する尊重の必要性
3. チベット人の希望
4. チベット人の基本要求事項ならびに自治の必要性

1. 言語
2. 文化
3. 宗教
4. 教育
5. 環境保護
6. 天然資源の使用
7. 経済発展ならびに商取引
8. 公衆衛生
9. 治安維持
10. 地域における移民制限の条令の制定
11. 諸外国との文化・教育・科学・宗教的交流活動の 許可

5. 中華人民共和国内のチベット民族の統一の必要性
6. 自治とその基本的な骨組み
7. 将来的な立場



1、はじめに

 2002年、中華人民共和国の中央人民政府との直接連絡ルートが再開して以降、ダライ・ラマ第14世法王の特使と中央政府の代表者との間で協議が行われ た。当方より、チベット人の要求事項を明確に伝達した。双方に有益な中道的構想こそが、中華人民共和国憲法の主旨に反さない、チベット民族にとっての実質 的な自治を得るための方法であり、それはチベット・中国の双方にとって、暫定的な観点からも、長期的な観点からも、相互に利益をもたらす基礎となるもので ある。我々は分離独立を争点としないことを明確に約束し、名実を共にする自治が行われることで、チベットにおける苦悩や騒乱を回避することを目指してい る。これは中華人民共和国憲法に示されている自治に関する趣旨に完全に合致するものである。チベット民族ならびにその文化を総じて保全することは、すべて の人類にとって、特にチベット・中国の両民族にとって有益なことである。

 去る2008年7月1日・2日、第7回目の会談が行われた。その席で、中国人民政治協商会議副主席、杜青林・中央統一戦線工作部長は、ダライ・ラマ法王 側がチベットの安定と発展のためにどのような前向きな構想を持っているのか、それを示して欲しいと仰った。また朱維群・中央統一戦線工作部常務副部長は、 我々が主張している自治の範囲およびその形式に関する具体的な要望を明言し、中華人民共和国の憲法に反さない地方自治に関する見解を伺いたい、と仰った。

 これを受け本草案では、我々がもっている自治に関しての実質的立場、中華人民共和国憲法の自治の主旨に対する我々の理解、その立場での政策施行が、チ ベット人の要求を満たすことが可能であることを明らかにしたい。ダライ・ラマ法王は、チベット人の基本的要求事項は、中華人民共和国の内部で実質的な自治 (実質的自治とは何を意味しているのかについては後述する)を行うという方向性で実現可能であると確信なさっておられる。

 中華人民共和国は多くの民族が集合した国家であるがゆえに、諸外国と同様に、少数民族に対し自治権を与えることで民族自決権を付与している。中華人民共 和国憲法では、自治または独立行政自治に関しての基本原則が定められている。それらの目的はチベット人の要望に合致したものである。民族による地方自治を 行う目的は、大漢民族主義と地方民族主義との両者を排斥することで民族弾圧と民族分裂の両方を回避し、各居住区域における自治権を享受させることを通じ て、少数民族およびその文化の保護を保証することにある。

 我々の理解では、憲法で定められる自治の本旨の範囲内で、チベット人の要求事項は基本的に実現可能である。憲法では、特定の重要事項については、特定の 国政機関が自主的に管理し得る特別な権利を与えている。チベット人に固有の特徴に見合う名実を共にした自治が続行されるためには、これらの特別な権利を行 使する必要がある。それを行使する際に、チベット民族の需要ならびに特性に合致させるため、いくつかの自治に関する法令を改正もしくは修正しなければなら ない可能性もあるだろう。しかしながら双方がより高い志をもって望むのであれば、憲法に示される自治の本旨により、現在の問題は解決可能なのであり、その ようにすることで、国家の統一、安定、チベット民族と他の民族との間での友好な関係を構築することが可能となるのである。


2、チベット民族の単一性に対する尊重の必要性

 現在の行政区分とは無関係に、すべてのチベット民族は一つの少数民族に属している。チベット人を単一のものとして必ず尊重していただくよう要請する。こ れは憲法に示される、民族の地方自治という思想、目的、基本方針であるだけではなく、すべての民族を平等に扱うという発想の基本となるものである。

 チベット民族は、言語、文化、思想的伝統、風俗風習の点からも単一民族なのであり、単一の主体性を持っているという事実については、いまさら論じるまでもまい。
 チベット民族が共通の歴史をもち、過去において政治ならびに行政上分断された時代が存在しなかったことを考慮しなくとも、宗教、文化、教育、言語、生活 習慣、土地環境の点からも、連続した単一性を保有し続けてきたのである。居住地域の観点でも、チベット民族は、チベット高原のなかで分断なく遍在的に居住 してきたのである。数千年前からチベット人は、チベット高原に居住している。つまり、チベット人はチベット高原の原住民である。憲法で示される民族地方自 治の本旨に合致した事実として、チベット人は、単一民族としてチベット高原全域に遍在して居住しているのである。

 これらのことを根拠として、中華人民共和国は、チベット民族を55の少数民族の一民族であると認定しているのである。


3、チベット人の希望

 チベット民族は、独自の歴史、文化、精神文化を豊富に保有している。それは人類の貴重な文化遺産の一つである。チベット人は、祖先代々伝わってきたこう した遺産を保護することを望んでいるだけではなく、21世紀に求められるものに対応するため、自らの精神文化や風習をより発展させたいと望んでいる。

 多民族国家である中華人民共和国の一部分として共存することで、チベット人にとっては、著しく発展しつつある国内経済や科学技術の恩恵を享受することが できるのであり、我々はこの発展過程に参画し、統一結束することを望んでいる。同時にチベット民族の有する固有性、文化、本質を失わないようにする必要が あり、古来チベット民族が集落を形成してきた失われやすいチベット高原の自然環境を危機的状況に陥らせぬ対策を施すことを望んでいる。

 チベット民族の状況が、特殊な性質をもっているという認知は、既にこれまでにも存在しているものである。17ケ条の協定をはじめ、歴代の中華人民共和国 国家主席の談話やいくつかの政策にもそれが示されてきたのであり、その通りにチベット人が行使できる自治の状態ならびに枠組みを保証する原則を遵守してい ただきたい。憲法でも、少数民族の特性ならびに要望に相応しい柔軟な対応をとるべきという、基本的な考え方が定められている。

 ダライ・ラマ法王は、中華人民共和国という枠組みのなかで、現在のチベット問題に対する解決策がもたらされることを望んでおられ、そのことをはっきりと 断言なさっておられる。ダライ・ラマ法王のこのお立場は、トウ小平前国家主席が“チベット問題に関しては、独立以外のすべての事項について協議することで 解決できる”と強調されたことに完全に合致したものである。我々は中華人民共和国の領土保全を尊重しているからこそ、我々の希望として、中華人民共和国の なかでのチベット人の統一と実質的自治権が中央人民政府によって承認され、それが全面的に尊重されることを希望しているのである。そしてこれは、我々との 間での見解の相違を解決する基盤であり、中華人民共和国の民族団結と調和と安定がもたらされる礎となるものである。

 チベット民族の独自性の発展には、世界各国また特に先進国の歩調に見合った経済・社会・行政の発展計画が、チベット人自身の特性を尊重保護することを通 じて行われる必要がある。そしてそれが実現するためには、チベット人による行政ならびに自治の行使権が認められなければならない。しかもそれがチベット人 自身の需要、特性、優先順位に合致するためには、チベット民族が集まり居住している全域に及んだ施行がなされる必要があるのである。

 チベット民族ならびにその文化は、チベット人自身以外の他の何人によってもそれを保護する術はない。したがって、チベット人自身が互いに助けあい、自ら の発展を自己責任にて行い、自治行政運営を行うべき部分と、中央政府・省・区の側から、チベットに対して利益をもたらす支援や指導を行う部分とに、均衡な バランスを構築することが重要である。


4、チベット人の基本要求事項ならびに自治の必要性1、

言語

 言語は、チベット民族とは何かを定義する最も重要な特性である。チベット語は、チベット人の会話の言語の中心であるだけではなく、我々の文学、宗教的著 作物、歴史書、逸話、さらには科学に関する著述といったすべてのものが、その言語で記されている。チベットの口語ならびに文語は、サンスクリット語と同等 な高度な文法学的規則を有しているだけではなく、サンスクリット語からチベット語に翻訳する際にも、語意を誤ることなく、正しく翻訳することが可能な唯一 の言語である。だからこそ、世界のなかでも最多かつ最良の翻訳文献であるだけではなく、最も豊かで多くの文献を保有するものであるという説を唱える学者も いる。憲法第4条には、すべての民族が独自の口語ならびに文語を使用し発展させるための自由と保証がなされているのである。

 チベット人が自らの言語を使用し発展させるためには、チベット語すなわちチベット人の口語と文語を公用語とし、それを尊重する必要がある。同様に、チ ベット民族の自治地域の公用語には、チベット文字を使用する必要がある。この考え方は憲法第121条で柔軟に認められており、「民族自治地方の自治機関 は、当地で通用している一種類あるいは数種類の言語や文字を使用する」と定められている。民族区域自治法第10条でも「当該地方の民族はすべて自己の言語 を使用し発展させる自由があり、それが保証されている」と明記されている。

 チベット民族の地域での公用語をチベット語とすべきであるのと同様、民族地域自治法第36条では、自治区域の行政機関には、教育に関して、教育で使用す る言語および学級制などの決定を行うことのできる権利が定められている。これらの意味するところのものは、教育を行う際に使用するべき言語としてチベット 語が使用されるという原則が認められているということなのである。

2、文化

 民族区域自治を行う基本的な目的は、少数民族の文化を保護するためにある。そのために、中華人民共和国憲法第22条、第417条、第119条、ならびに 民族区域自治法第38条では、文化を保護するべきことが定められている。チベット人の文化とは、チベット人の宗教、伝統、言語、民族と密接に関係している のであり、現状ではその文化は様々な形で重大な危機に瀕している。チベット人は多くの人口を抱える中華人民共和国と共存しているのであるからこそ、憲法に 定められるものに相応しい形で、チベット人の固有の文化が保護されなければならない。

3、宗教

 宗教はチベット人の基盤となる重大な関心事であり、仏教は、我々そのものと密接な関係にあるものである。宗教制度と行政制度とを区分することが重要であ ることは、我々も認めるが、それを理由に、宗教に対する信仰を有する人々の自由と宗教生活を毀損しないようにしなくてはならない。チベット人にとって信教 の自由や思想の自由がないということは、その限りにおいて、個人もしくは民衆としてのそれ以外の自由については考えることすらできないのに等しい。憲法で は、宗教そのものおよび信仰に入るかどうかの入り口を保護しなければならないことの重要性を確認している。第36条においては、国民すべてに宗教信仰の自 由権が保証されており、如何なる者であっても、個人に対して、宗教を信仰したり信仰しなかったりすることを強制してはならないこと、すべての宗教に如何な る差別もしてはならないとしている。憲法のこの考え方を国際的な標準に照らし合わせて述べるのであれば、信仰の仕方や実践の仕方というものもまた、宗教信 仰の自由の範囲内にある。この自由のなかには、宗教的伝統に基づいた僧院の運営および僧院教育の実施、出家者の僧侶・尼僧の人数・年齢を宗教上の教義に基 づいて入門・在籍させることができることや、大衆に対する説法会や灌頂会などが行われる場合に誰でも自由にそれに参加できる、といったことも含まれてい る。したがって、宗教の一般的な事項である、師弟関係、僧院の運営、化身ラマの認定といった領域内部まで、国家が干渉すべきではない。

4、教育

 中央政府教育部と連携し、チベット人自身の教育制度を構築する必要と、それを運営する必要がある。このチベット人の要求は、憲法に定められた教育に関す る主旨に裏付けされている。科学技術の発展のためにも、協働参画する必要性についても、また同様である。現代の国際社会における科学の発展に対して、仏教 における精神分析哲学や理論、宇宙観、認知論などが大いに貢献することは徐々に広く認知されており、我々も同様に考えている。

 憲法第19条では、国民に教育を与える援助の責務を国家が果たすべきこと、また第119条では民族自治地域機関が当該地域の教育方針を自主的に決定しなければならないことが定められている。民族地域自治法第36条でも同主旨である。

 これらの決議の方法について自治権の行使範囲が不明確であると強調しておきたいが、チベット人にとってはチベット民族の教育に関して、名実を共にする自治権の行使が必要となる。そしてそのようにするべきことは、憲法に示される自治の本旨に合致している。

 科学技術の発展には協働参画したいということもまた、憲法第119条、ならびに民族区域自治法第39条で、自治地域における科学技術を発展させるべき権利が明白に確認されているものである。

5、環境保護

 チベットは、アジアの主要な大河川の水源である。同時に、世界最高峰の山や、人類がいまだかつて触れたことのない鉱物資源、森林資源の豊富な広大な土地であり、世界で最も標高の高い場所でもある。

 そのような環境を保護してきた伝統は、チベット人たちが人間と動物とを区別することなく、すべての生物を害することなく、暴力を振るうことなく、他の生 物の命を尊重してきた伝統によってもたらされたものである。チベットという独自の自然環境を消費してしまわないようにすることは、重要な課題である。

 今日では、チベットの往古の環境は、取り返しのつかないほどに破壊されてしまった。その影響は、草原、農地、森林、水源、山岳動物などにはっきりと及んでいる。

 このようになったからこそ、民族地域自治法第45条ならび第65条の下で、チベット古来の環境を保護する伝統に合致した環境保護政策を作成し、それを施行するための権利を付与する必要がある。

6、天然資源の使用


 憲法ならびに民族地域自治法では、自然環境や天然資源の保護管理に関しては、自治地域の自治体組織が部分的に担当するべく信託されている。(民族区域自 治法第27条、28条、45条、66条、ならびに憲法第118条では、民族地域自治の利益を考慮すべきことが認められている)民族区域自治法は、自治地域 において草原および森林を保護し増加させるべきことの重要性を確認し、(第27条)「法に依って自地方の天然資源を管理、保護し、法律の規定と国の統一的 計画に基づいて、自地方が開発できる天然資源を優先的かつ合理的に開発、利用する。」と定められている。(第28条)

 土地の所有権は、天然資源や税ならびに収益を拡大させるための基礎である。しかるに国有地以外のすべての土地に関して、合法的な賃借権もしくは譲渡権が 自治地域民族のみに限定的に付与されることは極めて重要なことである。また同時に、国家の発展計画に応じて、自治地域における自律的な発展計画を建て、そ れを実施することができる権利が付与されることも必要である。

7、経済発展ならびに商取引

 チベットの特定地域の経済発展は確実に必要である。経済面でチベット地域は中華人民共和国の中で最も後進している一地域となっている。

 憲法では、自治地域において地方の特性と需要に適した経済発展がなされるべきことを重視すべき見解が確認されている。(憲法第118条、民族区域自治法 第25条)同様に、通貨規制や保護をもなすべき自治の考え方も認定されている。(憲法第117条、地域区域自治法第32条)それ以外には、特定の自治地域 の発展を促進するために、国家による財政支援と援助を行う必要があることも確認している。(憲法第117条、民族地域自治法第22条)

 同様に民族地域自治法第311条では、チベットのような他の国家に隣接している自治地域は、外国との交易や、国境を商用で往来可能であることが明記され ている。他の国家と文化、宗教、民族、経済の面で共通した特質を有しているチベット人にとって、この考え方は極めて重要なものである。

 中央政府およびいくつかの省の支援が行われることは暫定的には有益であるが、長期的にみると、チベット民族単独では生活できず他者に依存しなくてはなら ないことになる。そうなればその欠点は大きなものとなる。よって、チベット民族が自分自身で生活できるようにすることも、自治の重要な目的である。

8、公衆衛生

 憲法では、保健ならび医療に関する医療施設の整備を国家が担うべきことが示されている。(憲法第21条)憲法第119条では、それは自治地域機関にその 責任が付与されている。民族地域自治法(第40条)では、地域民族自治の自治体は、自らの決定権によって、当該地域の保健ならびに医療に関する計画、なら びにその発展を行う計画を作成することについて、現代医療ならびに民族の伝統的な医療を発展させるべき権利を確認している。

 上記の法令の主旨のもと、地域自治体の行政府には、チベット人すべての健康に関する要求を満たす施設と能力が必要である。同時に伝統を混在させるのではなく、伝統的なチベット医学および暦学の実践を普及し発展させ得る権利を有していることが必要なのである。

9、治安維持

 民衆の治安に関しての重要な決議ならびに治安維持は、当該地域の伝統ならびに風習に通じている者をより多く配備することを尊重することが極めて重要である。

 自治ならびに自治行政運営を行う者の重要な務めとして、民衆に施行される条令ならびに自治区の安全を考慮しなくてはならない。憲法第120条および民族 区域自治法第24条で「民族自治地方の自治機関は、国家の軍事制度ならびに当該地域の実際の需要に照らし合わせて、国務院の批准を経て、当該地域の社会治 安を維持する公安部隊を組織できる」と自治区域の治安維持を行うための権限ならびにその部分的行使の重要性を確認している。

10、地域における移民制限の条令の制定

 民族区域自治法の基本目的は、少数民族とその文化・言語などを保護し、自らの居住地域を自主的に管理させることにある。しかしもし、少数民族の居住地域 に漢族やその他の多数民族を大量に一気に移住させたり、移住を促すのならば、それは民族地域自治法の目的ならびに主旨を無きものとすることになるだろう。 これらの人口移住は、地域における人口比率に大きな影響を及ぼし、それによりチベット族は、漢族と団結一致するのではなく、その代わりに自らの独自の文化 や民族を徐々に絶滅させてゆくことを通じて、チベット人を大漢民族に融和同化させている。同時に、チベット民族の居留区域に、漢族ないしは他の大量の民族 を移住させることは、民族区域自治を行使するべき必然性に対して根本的な変化をもたらすものである。何故ならば、“少数民族の集合地域”と呼ばれて示され ている自治が行使されるべく憲法で定めている地域の基準は、人口移住によって変化し、かつ無視されるからである。もしも、こうした人口移住を制限せずに、 今後もその政策が継続されるのならば、チベット民族は、将来的には、“集合”している状態ではなくなり、そのことによって憲法が基盤としている民族地域自 治の権利が無きものになる。このようなことを行うならば、民族問題に関する憲法の構想を直接破棄してしまうこととなる。

 中国国内でも地域住民の往来ならびに移住を制限した先例はある。自治機関には移民を制限するための権利は、極めて僅かなものが与えられているのみであ る。我々の考えでは、自治の原則を尊重し、その施行が有益なものとなるためには、特定の自治機関には、中華人民共和国の他の地域からチベットへの移住に関 して、居住者、一時的な居留者、就労者、経済活動の追求などに関しての条例を制定する権利が必要であり、それは極めて重要なことである。

 これらはチベットへの永住、長期滞在を行っている者を、他の地域へと排除したいという動機によるものではない。我々が懸念しているのは、漢民族をはじめ とする他の民族の大量移住を促すことによって既存の社会が変化し、チベット人が少数派となり、極めて失われやすい自然環境に危機を及ぼしているというこれ らのことなのである。

11、諸外国との文化・教育・科学・宗教的交流活動の許可

 自治の主旨にもとづいて、文化、芸術、知識、科学、公衆衛生、スポーツ、宗教、環境、経済などの分野について、中華人民共和国の他の民族ならびに自治区 および主要な省との交流や提携などをすべきことが極めて重要であることは言うまでもないが、外国とも相互に交流する権利が有ることは、民族区域自治法(第 42条)で認められている。


5、中華人民共和国内のチベット民族の統一の必要性

 以上述べてきたチベット人の基本要求についての自治の施行を、チベット人に共通する民族、文化、宗教的な伝統を保護し発展させることを通じて発展させる ために、現在の中華人民共和国によって自治地域として与えられているチベット民族の区域すべてを単一の自治機関の下におく必要がある。

 現行の自治区分は、チベット人を中華人民共和国の区および複数の省のなかで運営させるものであるが、それによって分断されており、地域の発展にも格差の 原因を生み出している。同様にチベット人の共通した民族性、文化、宗教的な伝統が保護され、発展してゆく可能性を低下させているのである。この政策は、民 族の単一性を尊重する代わりに、民族を分裂させ、チベット民族の単一性そのものを障げる原因となっており、自治の主旨を顧みずに無きものとしているのであ る。少数民族のなかでも主要なウイグル族やモンゴル族は、大多数はそれぞれ一つの自治区内で運営を行っているけれども、チベット族は、単一の少数民族では ない多民族であるかの如く扱われているのである。

 現在の異なった自治状態の下にあるチベット族をすべて一つの運営体に帰属させるべきであることは、憲法第4条に示される主旨に完全に一致するだけではな く、民族区域自治法の第二条でも「それぞれの少数民族が集団生活を行っている特定区域が区域自治を実行する」と述べられている。民族区域自治法では、民族 地域自治制度は、民族の重要事項を決定するために共産党が決定した基本政策であり、また、 民族区域自治とは国の統一的指導の下で、各少数民族が集まり住む地方が区域の自治を実行し、自治機関を設立し、自治権を行使することである。民族区域自治 の実行は、国家が少数民族を尊重しその権利を保障し、各民族がその内部の事務に関する権利を有するという精神を具現するものであり、国家が各民族の平等、 団結、共同繁栄の原則を堅持することを具現するものである。『民族区域自治法』序文 と制定されている。

 中華人民共和国のなかで、チベット民族の自治を行使する権利がすべてのチベット民族に有るのならば、有意義な実質的な自治がもたらされることは明らかである。

 民族区域自治法には、民族自治の区域に変更を加える必要が有り得るという見解が確認されている。憲法で示される自治の基本構想をもとに、チベット人の単 一性を尊重しなければならないというこの要求は、完全に合法的なものであるだけではなく、そのために運営体に変更を加える特別な必要性もまた憲法の主旨に 違反することはないし、実際にそのようになされた先例もあるのである。


6、自治とその基本的な骨組み

 このような名実を共にする自治が現在行われていないこれらの事項は、チベット人が、自治ならびに自主的行政の自主運営を行うための如何なる基準、方法を 享受するかどうかに依存している。それゆえ検討しなければならないことは、チベット民族の特殊な性質と基本要求に見合った自治に関する法令を作成し、それ を施行することにある。

 実質的な自治権の行使には、チベット人に対して、その需要と特性に見合った地域行政府や行政機構を設置できる権利が有るということも含まれる。自治区の 人民代表大会には、すべての地域の事項 (既に述べた自治の内容)に関する法令を制定できる権利が必要であるし、その他の特定の自治行政機関にはその行使権ならびに、自由裁量権が必要となる。中 央政府の国家計画に関する各決議の際に代表者が参加可能であり、それらの重要な決議の一部を担えることもまた自治に含まれるものである。自治が組織的に実 行されるためには、意見をまとめるプロセスが、相互に一定の能力をもち、相互関係し、共通の利益および関連事項については、中央行政府と地方行政府の両者 が均衡状態を保ちながら決議を行えるという手法が採用されている必要がある。

 名実を共にする自治に最も必要な条件は、憲法ならびに関連法令で定められる地方自治権ならびにその責任を、どちらか一方が一方的に無視したり、改変する ことができないことを保証することにある。それはつまり、中央政府と自治地域行政機関との双方が、いづれか一方の承諾を得ることなしに、一方的に特定の自 治の基本条件について変更することが許されないということを意味している。

 チベットならびにチベット民族の特徴、需要に見合った実質的な自治が施行される範囲ならびに、その特性については、憲法第116条 (民族区域自治法第19条にも定められる)で示されている条件をもとにした、自治の実行に関する条例に詳しく定めなければならない。可能であれば、そのた めに別途法令を定めることもできる。憲法第31条をはじめとする憲法では、国家の社会・経済・政治機構を鑑みて、チベットのような特殊性をもったものに は、その特殊性に見合った柔軟な対応をしなければならないという項目が定められてもいる。

 憲法第3章第6節では、民族地域自治機関は、自治行政権ならびに立法権が有ることを確認している。そしてそれに基づいて、憲法第116条(民族区域自治 法第19条にも示される)では、当該地域の民族の政治、経済、文明の特性をもとに、自治法令を裁定することのできる権利について記載されている。それに対 応して、憲法では、多くの事項についてその運営は自治によって実行するべき権利 (憲法117条から20条まで)ならびに、自治機関は地域の需要に合致するために、上位の中央政府ならびに国家機関の法令ならびに政策に関して、各地域の 実情に見あう柔軟な対応をするべきことが確認されている。 (憲法第115条)

 これらの法令で定められる条件により、自治機関の裁量権を脅かす決定がなされる場合があったとしても、憲法では、自治機関には、地域の需要と見合った法 令を制定し、政策を決定しなければならないという主旨が認められているだけではなく、それらがそれ以外の中央行政機関による決定とは異なる場合も可能であ るということが明示されているのである。

 我々がはっきり述べるように、チベット人の要求は、憲法で示されている自治の構想と柔軟に合致したものである。しかしながら実際の実行に関してはこれらの構想が実現するために、今日さまざまな問題がそれを妨げ、不可能にしているのである。

 実質的な自治を実行するためには、たとえば権力を分散し、中央政府と自治地域行政機関との両者にここの事項についてそれぞれ明確な責任分担をすることが 必要である。現在はそのように明確でないだけではなく、自治地域の条例を制定権の範囲が定まっておらず、大きな障害が継続的に存在している。それゆえ、一 方では、憲法で自治地域に多くの事項について法令を制定できる特別な需要を認めているにも関わらず、それらを憲法第116条の下で、最高の中央行政機関で ある全人民代表会議による批准を得る必要が有るので、それがこうした自治の主旨を実行するための障害を生み出しているのである。事実そうした批准を必要と していると定められているのは、自治区の人民代表大会だけである。中華人民共和国の各省の(自治地域以外の)通常の人民代表会議にはそのような批准は必要 ではなく、制定する諸条例は、全人民代表大会で記録するために、単に報告する義務が課せられているのに過ぎない。(憲法第100条)

 自治の実施に関しても、憲法第115条の下に、多くの法令や条例に合致しなければならないように定められている。いくつかの法令は自治地域の自治の強い 障害となるものも制定されており、またいくつかの法令は相互に矛盾しているものも有る。それゆえに、自治権の本来の基準が一体何なのか明確ではないし、何 らの規定もなされてない状態となっているのである。何故ならば、上位国家機関が法令や条令を制定し、最終的には政策変更した等といった一方的な変更が為さ れている。中央政府と地方政府との間で、自治の範囲ならびにその実行範囲について見解が相違しているのならば、それらを決定する手段や協議調整する方法は 全くないことになる。実際的な状況について明瞭な規定がないというこのことは、地方の権利を担当する者がその業務に責任を負うために障害となっているので あり、現在チベット人にとって実質的な自治を行使する際の障害を生み出している。

 現在の状況で、我々はこうした事項や実質的な自治を行使するために、チベット人の抱えている苦難を詳細に説明したいとは思わないが、将来的な協議を行う 際には、状況に則した決定がもたらされるために、これらのことを一例として申し上げたのである。我々は今後も継続して、憲法と関連法令を学んでいきたいと 考えているし、しかるべき時期になれば、我々が知る限り研究した結果を提供申し上げるつもりである。


7、将来的な立場

 この草案の冒頭に明記したように、我々チベット人の要望しているものは、中華人民共和国の憲法に定められる自治の主旨と合致していることを確信してい る。我々の目指すものは、これらの需要が中華人民共和国の枠組みのなかで何故実現できていないのかということを協議するというこのことにある。ダライ・ラ マ法王が繰り返しおっしゃっている通り、我々には隠蔽工作など何もない。実質的な自治を行うことのできるどのようなシステムが構築されようとも、それは中 華人民共和国から分裂しようとするための階梯として利用するということを目指すものでは決してない。

 亡命チベット行政府は、チベットの民衆の利益とチベット人の実際の要求を代弁するためのものであり、我々との間で上記の諸項目に関しての制度が整えられ れば、それ以降は無用となるので、即刻解散することになっているものである。事実、ダライ・ラマ法王は、未来において政治的な名分を何ら受託しない旨を既 に決意されていることを何度も強調なされておられる。しかしながら、ダライ・ラマ法王は、そうした制度を享受することを必要としているチベット人が支援を 得るために、法王ご自身の個人的な能力すべてを使われる御積りでいらっしゃる。

 これらを確約し、本草案の次なる一歩として、本草案に明記した事項について、有意義な協議を開始できるよう信じているし、その意思を共有することを望ん でいる。そのための我々双方が信頼するに足り得る方法、そのプロセス、タイムテーブル案を添付するので、今後の協議で最終結論に達すことが可能となるよう 強く望んでいる。


※チベット語より全文を直訳、再掲いたしました(2008.12.17)



11月21日、参加者全員が再びTCVホールに招集され、各部会議長からそれぞれ討論報告があった。翌22日午前8時、各部会議長、特別全体会議組織委員 会メンバーおよび亡命チベット代表者議会常任委員会メンバーが15部会の意見をまとめるために集まった。午後1時半、集約された意見が全体会議で発表され た。その内容は以下の通りである。

チベット人の政教両面における指導者としてのダライ・ラマ法王について  ダライ・ラマ法王は全チベット人の委任のもと、チベット人にとっての宗教的、政治的最高指導者の地位にお就きになられた。中国を含む隣国もこれを受け入れ ており、ダライ・ラマ法王が我々の政教両面における指導者であることは明白である。同時に、CTAはチベット内外のチベット民族の唯一正当な代表機関であ り、これは何世紀にもわたり継承されてきた伝統でもある。ダライ・ラマ法王とCTAには、チベットとその民族を代表する権利はない、という中国政府のレト リックとプロパガンダが荒唐無稽であることは歴史が証言している。チベット内外のチベット人は中国政府のそのような見解には真っ向から対抗する。
今回の特別全体会議は、ダライ・ラマ法王に危機的状況にあるチベットの宗教的、政治的指導者として(引退、半引退などとおっしゃらずに)今まで通りの任務 をお引き受けいただけるように強くお願い申し上げる。ダライ・ラマの転生者であらせられる現ダライ・ラマ法王以外に雪国チベットの民を加護し続けられる方 はおいでにならない。

今回の特別全体会議を通 じて我々は中国政府に対し、ダライ・ラマ法王に対する事実無根の理解不可能な非難中傷を直ちに止めるよう要請する。彼らの中傷によって世界中のチベット 人、中国人を含むチベット仏教信奉者、そして正義を愛する世界中の人々の心が傷つけられた。更に、チベット人と中国人民間の民族的な溝も深くなり、その結 果将来的な民族間の協調と調和にも影響が出ることが必至となった。
CTAの政策と方針について チ ベット内外から寄せられた意見と、今回の会議で出された提案を集約した結果、その時々の状況に応じながらダライ・ラマ法王のお導きに従うという意見で一致 した。大多数は引き続き中道政策を支持しているが、加えて、これまでの中国政府の対応を考えると特使を派遣するのを見送り、近い将来前向きな結果が得られ なければ完全独立や民族自決への政策転換も考えるべきだという意見も目立った。

中道、独立、民族自決、どのような道がとられようとも、我々は目的達成のために非暴力を貫き通す。
中華人民共和国政府と中国人民について ダ ライ・ラマ法王とCTAは中国-チベット問題を中道のアプローチによって解決すべく努力してきた。我々は最近、チベット人のための真の自治についての覚書 を中国政府に提出したが、中国憲法の枠組みに沿った内容であるにもかかわらず、中国政府は前向きな反応を示すどころか、どの条項も独立、半独立あるいは偽 装した独立を狙うCTAの画策だとして全く取り合わなかった。対話は前進のないまま終わった。この全責任は中国政府にある。
今 年チベット中で起こった抗議運動は長年鬱積してきたチベット人の不満や苦痛のあらわれである。チベットが侵略を受けて以来続いてきたチベットとチベット民 族に対する圧政が人々の怒りを爆発させたのだ。チベットの天然資源の組織的な略奪、チベットの伝統・習慣の破壊、ダライ・ラマ法王を強制的に非難させるい わゆる「愛国教育」の実施、大規模な漢民族のチベットへの移住などが、抗議行動が今なお続いている理由である。漢民族の移住政策はチベットの宗教や文化を 蝕み、チベットの生態系破壊の原因にもなっている。基本的な全人権の侵害も抗議運動の一因である。
チベットで起きた騒乱は「ダライ集団」によって扇動・画策されたと中国政府は断言している。ダライ・ラマ法王もCTAも国際調査団にチベット調査を依頼 し、中国政府の主張を裏付ける証拠を提示してもらえるよう要請した。さらにダラムサラの調査も受け入れる旨を伝えた。しかし中国政府はどちらの提案にも積 極的な態度を見せず、国際社会に対して自らの主張を裏付ける立った一つの証拠も提示できずにいる。この事実からも分かるように、今年三月からの抗議運動の 原因は明らかに侵略以来の中国のチベット政策にある。中国政府は自らの過ちを認め責任を取るべきだ。
今会議で何度も念を押し確認したことであるが、チベットの闘争はチベット民族の権利回復のためのものである。チベットとチベット民族に対する誤った政策に対する闘争だ。中国政府が流布しようとしているように、中国人民が相手ではない。

チ ベット仏教の破壊目的の一策として、中国政府はラマつまり活仏の認定に関する新法規を制定した。我々は信仰を持たない政府が宗教に干渉し、政治のために悪 用することを決して認めない。同様にチベット内の寺院で益々ひどく強要されるようになっている「愛国教育」キャンペーンにも強く反対する。
各機関および事業の改善について 亡 命チベット代表者議会の事務局は、教育・情報・厚生・財務の各分野の行政管理についての提案を近々報告書に作成する予定である。今回チベット内外のチベッ ト人から集められた情報と今会議で収集された情報を集約した内容になる。これからの指針を決める参考になるよう、関係部署に配布される。
チベットを支援してくださる全ての人たちへの感謝 我々はこの機会に、チベットとチベット民族をサポートしてくださる世界中の支援グループ・政府・一般の方々・議会・その他の国際機関に、そして長年惜しみないご支援をしてくださっているインド政府とインド国民の皆様に対して心からお礼を述べさせていただきます。

 第一回特別全体会議参加者を代表して
チベット暦2135年9月25日(西暦2008年11月22日) 亡命チベット代表者議会議長 カルマ・チュペル
同副議長 ギャリ・ドルマ
ダライ・ラマ法王日本代表部事務所



 
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